そこは、病院の喫煙所。嫌煙の進む時代の余波からか、病院といっても院内にあるわけではなく、門を出て右に徒歩数十秒ほど行ったところに設けられている。トタンの屋根と壁に、むき出しの鉄の骨組み。道路側の面に壁はなく吹きっさらしで、まるで田舎のバス…
「間に合わないかもな…。」 歩きながら、揺れる携帯のディスプレイに映し出される時刻を見て呟く。携帯と左手をコートのポケットに仕舞い、それから右手に持つコーヒーを口にする。やっぱり、いつもより苦い。ブラックは失敗だったなと改めて思う。 失敗とい…
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